短編フリーホラーゲーム『ジギ』 深い森に迷う「偽りの親子」の物語
ツバキとディアは「家族」。だけど本当の家族じゃない。でも、「親子」。
そんな不思議な関係をずっと続けていたある日、ディアが行方不明となってしまう。
「母親」のツバキはディアを探しに、神隠しが頻繁に起こるという、森の奥へと足を踏み込むが・・公式サイトより引用
今回はフリーホラーゲーム『ジギ』を紹介。本作は、ホラーアドベンチャーゲームを制作しているいるあんこ氏の作品。物語としては、血の繋がった家族ではない「親子」の物語が描かれるアドベンチャーだ。
短編ながらも、恐怖と雰囲気・世界観を十分に味わうことができ、特徴的なキャラクターイラストやデザインが魅力的だ。30分ほどでエンディングを迎えるコンパクトにまとまった短編ということもあり、おすすめの作品となっている。
なお、本作の推奨年齢は15才以上となっている。このフリーゲームには制作者の前作「ヒメゴト」に関連する内容が含まれるが、本作単独でも楽しむことができる。
「子供」を追って深い森の中へ
本作の主人公である「母親」のツバキは、「子供」であるディアを探しに深い森にやってくる。森の中でツバキは、さまざまな奇怪な現象に遭遇しつつ、ディアを見つけるために森の奥へと進むが……。
ゲームシステムとしては、オーソドックスな探索アドベンチャーとなっている。マップは基本的には一本道となっており、森の奥へと進みつつ、調べていくことで進んでいく。途中には謎解きの要素もあるため、情報を読み解くことも求められるが、難度が高いものは存在しないため、ヒントを読み解けばクリアまでたどり着くことができるだろう。
探索中は、森の奥へ進むための謎解きだけではなく、この物語の背景をより深く知るためのアイテムも存在する。森に落ちている「日記」や、ツバキの姿を模した人形などだ。これらを調べることで、本作の独特な雰囲気を楽しむことができるだろう。
たとえば日記を調べると、おそらくはディアが書いたと思われるような内容が綴られている。これはゲームクリアのためには特に必要のないものだが、物語をより深く楽しむためのアイテムとなっている。
目の前に現れるのは現実か、幻惑か
探索中には、森に存在する謎の怪物の姿も。舞台となる森は、人に幻惑を見せる森だというが、果たして物語の中でツバキの目の前に現れるものすべては、真実なのだろうか、それとも……。
そして時折はさまれる、ツバキやディアの関係性を描く回想も、物語を深めてくれるものとなっている。ツバキは自分がディアの「母親」であることを積極的な肯定はしない。一方で、ディアとしては母であってほしいと願っているようだ。こういった二人の距離感も、ゲームを進めるごとに描かれていく。
挿入される回想シーン。過去に起こった物語を想像することができる
本作はクリアまで約30~40分程度の短編となっており、エンディングは一つだ。そのため1時間もかからない程度の時間で作品を楽しみ尽くすことができる。空き時間に、独特な雰囲気のアドベンチャーフリゲを楽しみたい人などは、遊んでみてはいかがだろうか。
[基本情報]
タイトル:『ジギ』
制作者:いるあんこ(制作者サイトはこちら)
クリア時間:1プレイ3,40分程度
対応OS:Windows
価格:無料
ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/12796