海底散歩に出かけよう。海のドット絵アドベンチャー『マインテルの弟』

アドベンチャー,フリーゲーム

もうじき季節は夏本番。夏と言えば海水浴などの水を楽しむレジャーの季節だが、年々高まる気温、出歩く事も億劫な暑さの前には意志も霞むというもの。今回紹介する作品をプレイし終えた際に、筆者は自分が海はおろかプールですらもう年単位で行っておらず、水のレジャーからはトンと縁のない生活を送っていることに気がついてしまった。せめて心くらいは海へ…。

『マインテルの弟』はまさる星人氏が制作したアドベンチャーゲーム。2019年11月5日にWOLF RPGエディター作品登録ページにて公開されたのち、ふりーむにおいても2020年2月15日よりダウンロードが可能となっている。

そこはドット絵のアクアリウム

『マインテルの弟』では猫人間の「マインテル」となり、海へ出かけたまま帰ってこない自身の弟を探しに行くことが目的となる。作中には戦闘シーンや追いかけっこなどのアクションを要求される場面はなく、純粋に散策を主眼に置いた作品となっている。操作はキーボード操作の場合、上下左右で移動、Zキーで調査やメニューの決定、Xキーでメニューのオープンを行う。

本作の特徴のひとつがドット絵で描かれる海のビジュアルだ。ミニマムなドット絵で描かれる海底の様子は素朴な美しさに溢れており、色とりどりの魚たちが泳ぐ様子や、洞窟にちらつくマリンスノーなどは何十分でも眺めていたくなる。またBGMの類は無く環境音のみとなっており、それが海底の静かな雰囲気を醸し出すのに一役買っている。散歩がてらお気に入りの景色を探してみよう。

発見、海のともだち

マインテルの行く先では海の住人たちと遭遇することがあり、崖を越えるなど更に先へ行くために彼らの力を借りることになる。童話『浦島太郎』さながらに背中に乗せられて海を移動する事もあれば、海中なのにスクーターを乗り回す人物もいるなど、本作で海底に住まう人々のユニークな文化の一端を見て取ることができる。

道すがらには模様が描かれた石碑が見つかることもある。この画像のものは陸の生き物と海の生き物の差を描いたものと見られるが、それが意味するところは果たして何なのか。散りばめられた謎も雰囲気を深めてくれる。

一方で、文章などによる説明がないがために一部で進め方が判りにくい点もあり、筆者がプレイした際には深海のシーンで延々と悩んだ果てにヒントに頼ってしまった箇所も存在した。説明過多になれば海底ならではの静寂感を削ぐことになるのでバランスが難しいが、通路を用意して誘導するなどの一定の配慮が欲しかったところでもある。

弟を探して

本作には3種類のエンディングが存在している。分岐の条件の中にはクリア時間が関わるものがあるが、美しい景色を眺めずにいるのは少々もったいない。最初は気ままに海底の散歩を楽しみ、各種エンディングは2度3度とプレイする上で目指すとよいだろう。

[基本情報]
タイトル: マインテルの弟
制作者: まさる星人
クリア時間:  1時間~
対応OS: Windows
価格: フリーウェア

↓ダウンロードはこちらから
(WOLF RPGエディター作品紹介ページ)
http://silversecond.com/WolfRPGEditor/GameList/memberlist.cgi?view_no=1163

(ふりーむ)
https://www.freem.ne.jp/win/game/22064

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。