巨大なブースを構えるチームも出現。ゲームの祭典PAX Eastで盛り上がるインディゲーム
アメリカ・ボストンで3月6日から3日間開催されたゲームの展示会PAX East。3日間で7万人以上が来場するゲームをテーマにした一大祭典だ。来場者はアメリカ国内外から集まったゲーマーたち。数多く遊べるゲームに食らいつく人たちも『League of Legend』を始めとするチーム対戦が特徴のゲームの試合に熱狂する人たちも、コスプレをしている人たちもいれば、カードゲームを遊ぶコーナーもあるといった具合に様々だ。
会場でひときわ目を引いたのは、インディゲームのコーナーだ。GDCと同様インディメガブースのコーナーでは、各開発チームが出展をしていたのだが、その数は76。大小様々な開発チームがひしめき合っていた。また、有名インディゲームはその他のコーナーにブースに出しており、開発を初めてから2週間というチームもあれば、大ヒット作を飛ばした注目のゲームまで数多くのブースが勢揃いしていた印象だ。その熱気をレポートしよう。
PAXeast Indie MEGABOOTH(英語)
http://indiemegabooth.com/event/pax-east-2015/
インディゲームが当たり前になりつつあるアメリカ
参加してみて感じたのは、アメリカではインディゲームが当たり前になっているということだ。スクウェア・エニックス、ロジテックなどの巨大なブースの横にあるインディゲームのゾーンには絶え間なく人が往来し、各ブースの前は大きな人だかりができていた。
ブースというよりは2人分程度のスペースしかなかった東京ゲームショウとのコーナーのサイズの違いに驚愕せざるをえない。特に昨年リリースした作品がヒットしたKlei Games(『Invisible.Inc』)、Supergiant Games(『Transistor』)、Yacht Club GAmes(『Shovel Knight』)などのブースは大きかったのが印象的だった。
Supergiant Gamesのブース前。『Transistor』のコスプレをした人も
有名ゲームのブースや物販ではTシャツなどのグッズが販売されていたが、海外で人気のある『ゼルダの伝説』などに混ざって、『Papers, Please』、『Shovel Knight』などのTシャツも売られていた。
『Shovel Knight』と『Transistor』のTシャツ。会場内ではTシャツが至るところで売られていた
一方で、現在開発中の開発チームも多くブースを出展していた。
Zerobyte Incは、異変の起きた世界を舞台にSkyrimのようなオープンワールドの仕組みを採用したRPG『DEAD YEARS』をわずか2人で制作している。シナリオもマルチエンディングということで、それを2人で制作していることに驚きかざるを得ないが、今年中には公開したいと意欲的だ。
『DEAD YEAR』
Vertex Popが開発中の360度STG『WE ARE DOOMED』。STGで通常使われる色遣いと一線を画したグラフィックが美しい。制作者のMobeenは、このゲームを「プレイしていてリラックスしながら遊べるSTGにしたい」と述べている。STGは一般的に早いリズムで緊張感のある展開が特徴だが、あえてリラックスというコンセプトにこだわっている。どのような仕上がりになるのか非常に楽しみだ。
『WE ARE DOOMED』
カナダのデベロッパーAsteroid Baseが製作中の協力型アクションSTG『Lovers in a Dangerous Spacetime』。こちらも一風変わったSTGになっている。ほんわかするデザインに、内部で移動できる家のような自機。このゲームでは、自機の中を移動してバリアや攻撃、移動を行っていく。しかも2人で役割分担をしなければすぐに敵弾にやられてしまうという、ほんわかなように見えてなかなかシビアなゲームだ。
『LOVERS IN A DANGEROUS SPACETIME』
日本から世界へ。日本の開発チームのブース
アメリカでのイベントということで北米の開発チームが多くはなっていたが、日本から参加した開発チームもブースを構えていた。
大学院生のもっぴん氏(@moppin)が開発中の注目作『Downwell』はPAXeastの直前まで開催されていたゲーム開発者向け会議GDCに続き、ブース出展をしていた。PC版のプレイアブルが1台とiOS版が3台で、次々と遊びに来るプレイヤーに、ブースでは1人で対応。明朗な声でゲームの紹介をしていたのが印象的だ。
『Downwell』は名前の通り、井戸を下に落ちながら戦っていくアクションゲーム。ジャンプイコール下方向への攻撃と操作もシンプルだが、モノクロと赤のグラフィック、軽快なサウンドもいずれもシンプルだ。実際にプレイしてみると、一度着地するまでの残弾数が9回と制限されていたり、道中で弾がレーザーに変わったりと、飽きのこない奥深いデザインになっている。公開は7月を予定している。
インディゲームのパブリッシング、販売を行っているPlayismは昨年に引き続き日本在住の開発者の3つのゲームを展示していた。音楽に合わせて展開するローグライク・アクション『Band Saga』、左から闇が迫ってくる強制横スクロールが特徴的なローグライクRPG『片道勇者プラス』、避けきれない弾幕を次元を回転させて避ける新感覚STG『REVOLVER360 RE:ACTOR』の3作品だ。
PAX Eastでは世界各国から非常に多くの魅力的なゲームが出展されており、もぐらゲームス的に一押しなソフトが多かったのだが、全てを一度に紹介することは到底できない。今後、順次レビューしていくので楽しみにしていただきたい。