確率という名の神と戦うスマホゲーム『さだめブレイド』
神とは何か。
宗教や考え方などによってその定義は多岐に渡る。地震・雷・津波などの天災を神と呼んだり、単に、炎・風・太陽などのエネルギーを神と称することもある。「宇宙を作ったのは誰か」「人間を生み出したのは誰か」という問いかけにも「神」と答える場合がある。
そして確率・運といった「偶然性」にもまた、人類の理解を超えた存在として「神」が介在していると考える人も多い。
今回紹介するのは、確率に翻弄される即死系カードゲーム『さだめブレイド』だ。
初っぱなから謎の世界設定
まずは取扱説明書に記されているプロローグを引用させていただく。(ゲーム内に「取扱説明書」という冊子が用意されているのがユニークだ)
あるところに まおうが いました
かみさまは ゆうしゃに まおうを たおすように おつげ しました
ゆうしゃは まおうを やっつけました
せかいは へいわに なりました めでたし めでたし
これがプロローグだ。「めでたしめでたし」となっているが、勇者の物語はまだ終わっていない。では勇者はどこに行こうとしているのか? 目的は何なのか? 道中出てくる敵たちは何者なのか?
ゲームを進めていくことで、その謎が明らかになっていく。
運を天に任せるハイ&ローゲーム
基本ルールは非常に簡単。敵の数字(ゴッドナンバー)を見て、伏せられている自分の数字(ブレイドナンバー)が敵より高いか低いかを当てていく、いわゆるハイ&ローゲームだ。正解なら撃破し次の敵へ、失敗なら即ゲームオーバーとなる。
ゴッドナンバーは、最低値が1で最高値が100だ。ブレイドナンバーも同じく1~100の間のいずれかなので、例えばゴッドが「32」だった場合、ブレイドの方が上になる確率は68%だ。互いの数字が同じでも正解となるので、HIGHが正解となる確率は69%となる。LOWが正解となる確率は33%なので、こちらを選ぶメリットはほとんどない。
「それって3割の確率で死ぬだけの運ゲーじゃないの?」
それはその通りであるが、もちろんそれだけのゲームではない。
カードを使って確率をたぐり寄せていく
ではこのカード「ランサー」を使おう。(言い忘れていたが、このゲームはカードゲームだ!)
画面下に並んでいるのが「カード」だ。
ランサーの効果は「ゴッドを14減らし、ブレイドを14増やす」というものだ。
先ほどの例ではゴッドは32だったが、ランサーを使用すれば18まで減らす事ができる。一方、ブレイドの値は未だ伏せられたままではあるが、少なくとも15以上であることは確定する。この変化により、HIGHが正解となる確率は97%にまで上昇する。この状況なら確信を持ってHIGHを選ぶことができるはずだ。
ちなみに、ゴッドかブレイドの値を、1あるいは100にしてしまえば、答えを完全に確定させることができる。
このように、カードを駆使してゴッドとブレイドの値を変化させ、確率を自分の元にたぐり寄せていく。それがこの『さだめブレイド』というゲームだ。
とはいってもやはり運ゲーである。でもだからこそ楽しい
カード部分はトレーディングカードゲームに似たシステムで、様々な効果を持つカードから30枚選んでデッキを組み、それを消費しながら冒険を進める形となる。
また、敵を倒したときに「オタカラ」が出現することがある。持ち帰ることができれば、新しいカードの入手やカードの強化ができるが、オタカラを持ち帰るには、帰還用のカード「ひがえりのまきもの」を使わなければならない。もし1度でも不正解となってしまったら、全てパーだ。
なお、オタカラが出やすくなるカードを最初から所持しているので、冒険中にそれを使ってお宝の出現率を上げながら進めて行くのがセオリーとなる。進めば進むほど良いオタカラが出やすくなり、また、クリアすることでも莫大な報酬が手に入るため、できるだけ長く冒険を続けたい。
ここでやっかいなのが、デッキが30枚なのに対してステージも同じく30あるという点だ。報酬アップのカードは攻略には役立たないし、同時に2枚以上のカードを使用したくなる場面もある。普通にカードを使っていたらどこかで必ずカードが足りなくなってしまう。
そのため、できるだけ「カードを使わずに回答する」ことをしていかなければならない。また、状況に合う手札がない場合など、「カードを使わずに回答せざるを得ない」状況も多い。
例えば、オタカラを大量に抱えた状態で、ゴッドが36。4割近い確率で死亡する。手札に有効なカードなし。もしそんな状況に陥ったらどうするか?
いちかばちかの運勝負に出るか?
あるいは「ひがえりのまきもの」を使って脱出する?
その「ひがえりのまきもの」すらも手札になかったら…?
そうなったらもう、天に祈りながらどちらかのボタンを押すしかない。
そんな状況で運良く正解できたなら、その瞬間あなたは大きな安堵感に包まれると共に、得も言われぬ快感を味わうはずだ。
カードによる戦略要素はあるが、なんだかんだ言って運ゲーである。しかし、運ゲーだからこその一触即発な緊張感と、危ない橋を無事渡れたときの快感がやみつきになるのだ。それを高密度に繰り返していくのだから、ハマらないわけがない。
運に頼らない世界が見えてくる
先ほど「デッキ30枚ではどこかで足りなくなる」という説明をしたが、それを工夫によって覆すことも可能だ。
ネタバレになるため詳細は伏せるが、実は、捨て札を復活させたり手札を補充するなどの特殊なカードも存在する。うまく使えばカードをリサイクルして手札・山札不足を解消することが可能となる。
また、使用条件があるが強力な効果を持つカードも存在する。ものによっては複数ターンに渡って正解を確定させられるカードまである。うまく扱えれば、さらに安全にさらに長く戦うことができるようになる。
どちらも扱いが難しいが、デッキを試行錯誤してうまく連携が噛み合ったとき、そこには確率が介在しない、運に頼らない世界が垣間見えてくる。運に一喜一憂するのも楽しいが、最終的にそれを乗り越えたとき、さらなる達成感と気持ちよさを感じることだろう。
魔王を倒した後の世界の、勇者の物語
物語の大筋はエンディングで明らかになるが、それ以外については多くは語られない。ただ、物語を想像する余地と、そのための材料は豊富にある。
集めたカードを「アルバム」で開くと、各カードのフレーバーテキスト(キャラ設定など)が読める。また、ある条件を満たすと見ることができる隠しエンディングも複数種類あるらしいので、条件など探ってみるとより深く理解できるかもしれない。(ヒントはエンディング時の左上と右上)
プロローグでさっそく死んじゃった「まおうさま」もカードとして登場する。もふもふしてみたいですね。
スクリーンショットの敵の姿を見て気付いた方もいるかもしれないが、物語に関して軽いネタバレをひとつさせて頂く。『さだめブレイド』は、魔王を打ち倒した勇者が「神」を殺しに行く物語だ。
このゲーム、カードが揃っていない序盤は特に運ゲー比率が高いが、カードを集め、デッキを試行錯誤することで運に頼る比重を下げていくことができ、最終的には運に頼らないデッキが作れる可能性も秘めている。そのデッキを試行錯誤していく過程が、たまらなく面白い。
乱暴な解釈かもしれないが、「運に頼らない」ということは、つまり「神」を越えることを意味する。
神のいいなりになって魔王を倒した勇者が、その神と戦う物語。その過程で、プレイヤーも「運」という名の神と戦う。そして、プレイヤーであるあなたが運に頼らないデッキを構築し、運という名の神を越えたとき、勇者も神を殺す。
神を殺した勇者はその後どこに行くのか。ぜひあなたの目で確かめて頂きたい。
[基本情報]
タイトル さだめブレイド
制作者 たま電企
クリア時間 エンディングまで3~6時間(やり込み要素充実)
対応OS iOS(iPhone&iPad) / Android
価格 無料(広告解除100円/デッキ保存枠追加100円)
ダウンロードはこちらから