磁気を操るパズルアクション『Teslagrad』。文字を一切排除し、コミック調に描かれるスチームパンクな世界観
「スチームパンク」というSFのジャンルをご存知だろうか。産業革命後の蒸気機関が主役の時代のような、レトロな世界で繰り広げられる世界観だ。ぜんまいや歯車などの大味な油の匂いが染み付いたような重厚な雰囲気が懐かしさを感じさせるとともに、SFの新鮮さを同時に味わうことができる。
今回、紹介するPC向けパズルアクション『Teslagrad』は、そんなスチームパンクの世界観を非常に綺麗に表現した作品だ。そして、2Dアニメ調の絵本のようなキャラクター描写と、言葉を一切使われずに描かれるストーリーにも注目したい。
本作はノルウェーの新進気鋭のインディゲームデベロッパーRain Gamesの処女作。といいつつも、完成度は非常に高い。マルチプラットフォームに展開しており、PCだけでなく、Wii U、PS4でもプレイできる。さっそく紹介していこう。
攻略の鍵は「磁気」
本作の舞台は、とある王国。主人公の父は母親に主人公を預け何処かへ旅立つ。そして、数年後、少年になった主人公の家を怪しげな男たちが襲う…。主人公は男たちに追われながら、不思議な塔の迷宮に迷い込む。そんなストーリーだ。
塔では様々な仕掛けとボスが主人公を待ち受けている。パズルを解きながら進んでいくことになるのだが、その鍵となるのが「磁気」だ。
主人公がまず手に入れるマジックグローブは、特定のブロックに磁気を付与できる。
同じ色どうしは反発し、違う色はひかれあう。磁気を付与することでブロックを動かせる。
他にも、自分自身に磁気を付与してしまう「ポラリティクローク」や、瞬間移動を可能にする「ブリンクブーツ」などパズルを解くために必要な道具を手に入れていく。
なお、本ゲームには体力が存在しない。基本的には即死なので、攻略の糸口が見つかるまでは何度も死ぬため、若干ではあるが死にゲーの側面もある。各道具を手に入れてから、徐々に難易度が高くなってはいくレベルデザインは施されている。しかし、ステージのグラフィックが美しく、各部屋ごとに異なる景色が広がることで、そんなレベルデザインは完全に溶けんでしまって存在を感じなくなる。とにかく触っていて楽しいし、死んでも直前からリスタートするので何度も挑戦できるところが、このゲームの面白いところだ。
磁気の影響を受けたときの動きは、現実の磁石の動きを参考に精密にデザインしたという話。このふわっと浮く感覚が楽しい。
特に途中何箇所かで待ち構えているボスの攻略はかなり難易度が高くなっている。どのボスもパズルの要素がありながら、激しいアクションが求められる。一度でも操作を間違えてしまうと即死なので非常にシビアで手に汗握る戦いになる!
最初から最後まで言葉が一切登場しない
先ほど紹介したこのゲームのストーリーを説明する文字はゲーム中に一切登場しない。また、キャラクターも一切言葉を発しない。完全に文字という感覚を忘れてゲームの世界に没頭できる。グラフィックとサウンドだけで全てを伝えているのがこのゲームのもう一つの大きな特徴だ。
豊かな動きの2Dキャラクターたちがところ狭しと駆けまわるのを見ていると、ストーリーも何となく伝わるのではないだろうか。
操作方法や新たに入手した道具の使用方法は、背景に描かれている。
主人公が迷い込んだ塔の謎やこの王国に起きたことも、全て作中で描かれる。面白いのは、塔の中に劇場のような部屋が何箇所かあり、そこでかつて王国で何が起きたのかが描かれるというもの。
そして、テーマである「磁気」を象徴する赤と青の鮮やかなグラデーションもプレイしていて楽しくなる要素の1つだ。ぜひ磁気を操つる感覚を味わっていただきたい。
[基本情報]
タイトル Teslagrad
制作者 Rain Games(制作者様サイトはこちら)
クリア時間 5~10時間程度
対応機種 Windows/Mac/Linux、PS4、PS3、Wii U
価格 980円(PC)、1500円(PS4、PS3、Wii U)
PC版はこちらから