高難易度×弾幕×大ボリュームな2Dアクション『名もなき塔』お姫様を助けに行こう、世界が終わってしまうその前に

アクション,フリーゲーム

誰がいつ建てたのかも分からない名もなき塔。
平和な塔だったが、ある日魔神がお姫様を誘拐し頂上に幽閉する事件が起きてしまう。
そんな塔の地下で、今一人の少女が目を覚ます…。

今回紹介する『名もなき塔』は_/-^氏によって作成された2Dアクションフリーゲームだ。
2015年に開発を開始し、9年の歳月をかけて、昨年12月にver1.0が公開された。
公式プレイ時間目安は18〜30時間程であり、大ボリュームのシナリオとやり応えのある高難易度のアクションが特徴となっている。

お姫様を助けに行こう、世界が終わってしまうその前に

本作は一人の少女が塔の地下で目を覚ます場面から始まる。
彼女が一体何者なのか、なぜここにいるのか、プレイヤーに明示されることはない。
しかしたった一つだけ分かっていることがある。
それは「お姫様を助けに行く」こと。

このゲームの大筋の目標は簡単だ。
「塔の最上階の魔神を倒し、囚われのお姫様を助けに行く。」

塔は五つの層に分かれており、それぞれを四天王と魔神が支配している。
塔の中には以前から塔内で生活をしていた住人たちや、魔神の配下となる敵たちが存在している。
プレイヤーはお姫様に瓜二つな少女を操作し、住人と交流をしたり邪魔をしてくる敵を乗り越えたりしながら、塔の頂上へと進んでいく。

ここまで読むとこの作品が囚われの姫を勇者が救うありふれた物語であると思う方もいるだろう。
しかし実態は思った以上に違う。
塔を登っていく内にプレイヤーは「塔」と「囚われの姫」が全く別の意味を持つことに気がつくことになる。
ネタバレになってしまうのでこれ以上の言及は止めておくが、一人の少女のとても胸を打つ物語となっている。

立ちふさがるステージと個性豊かなボスたち

冒頭でも述べた通り、本作は難易度が高めのアクションゲームとなっている。

各ステージごとに特徴を持ったエネミーや独自のギミックが存在し、プレイヤーは上手にそれらに適応していかなければならない。
数多くの制約を課される「秩序の世界」、即死ギミックが矢継ぎ早に押し寄せる「六道輪廻」、常に精密な動作を要求される「外壁」などインパクトのあるステージは枚挙にいとまがないほどだ。

とはいえセーブポイント兼回復所はステージ内に数多く配置されており、リトライを面倒に感じることはない。
純粋にトライアンドエラーの楽しみを味わえるように配慮がなされている。

ゲームデザインとして、上記のような高難易度ステージの突破がプレイヤースキルの向上に寄与してくれる仕組みになっている点は重要だ。
塔を登るごとにプレイヤーに要求されるスキルは上昇していくが、プレイヤーも上達の実感をもって新たなステージに挑んでいくことができる。
大ボリュームながら上達と実践のサイクルを絶妙なバランスで回し続けているデザインが、プレイヤーを最後まで飽きさせない工夫に繋がっている。

また手応えのあるボス戦も本作の醍醐味だ。

空飛ぶ戦車から魔法使い、果てはアイドルまで計90体以上の個性的なボスとの戦いを味わうことができる。
加えて、その攻撃方法も多彩だ。
画像のように弾幕状の苛烈な攻撃を行ってくるボスの他にも、突如RPGのようなコマンドバトルを仕掛けてきたり、カジノのようなルーレットを用いて勝負をすることになったりと様々なギミックを用いてプレイヤーの前に立ちはだかる。

当然ボスとの戦いもまた高難易度でありプレイスキルを要求されるが、倒せた時の達成感もひとしおだ。

塔に住む人々との交流や寄り道も

魔神に支配されてはいるが、この塔には様々な住人が暮らしている。
塔を登る中で出会う様々なキャラクターたちも本作の大きな魅力となっている。

時にはボス戦で共に戦ってくれたり、武器を強化してくれたりと先へ進むには住人たちの協力は欠かせない。
アクションはハードだが、全体的にテキストはゆるめでクスっと笑えるポイントも多い。
また住人たちの存在自体が物語にも大きく関わってくるのだが、それは本編にて。

他には充実した寄り道要素も挙げられる。

各ステージにはタイムアタックや更に高難易度なチャレンジ要素が準備されている。
また塔を進むことで辿り着く「ミラージュガーデン」では多くのミニゲームを楽しむことも可能だ。
これらをクリアすることでゲーム内で聴くことができるサウンドを手に入れることができる。
全て揃えると140曲以上、圧巻の聴きごたえである。

ちなみに本作のシナリオはver1.0で完結しているが、今後のアップデートでボスラッシュなど更なるおまけ要素の実装が予定されている。

ゲームの至る所から溢れ出る確かなこだわり

本作はグラフィックからサウンドまで全ての素材が_/-^氏の自作となっている。
個人製作かつ9年間の歳月は非常に長期にわたるものだが、その分細部までこだわり尽くされている。
キャラクターのアニメーション、ステージの背景、隠し要素など至る所に遊び心が詰め込まれている。
確かに難易度は高い。
普段からアクションゲームに触れているプレイヤーでも苦戦するポイントはあるだろう。
しかし決して理不尽ではなく、繰り返すことで必ず突破口が開ける作りとなっている。
だからこそステージをクリアできたとき、ボスを倒せた時の満足度も十分なものがある。

公式プレイ時間は18〜30時間程度となっているが、アクションゲームのためこちらはプレイヤーの腕に大きく左右される。
体感としては30時間以上は要すると見込んでおく方が吉だ。
またこれらはストレートにシナリオを進めた場合であり、おまけ要素の回収も含めると100時間以上を筆者は要した。
もちろんおまけ要素も非常にやり応えがあり、最後まで楽しく遊ぶことができた。

腰を据えて一つのゲームにじっくりと取り組みたい人、やり応えのあるアクションゲームを探している人には是非ともおすすめしたい一作となっている。

[基本情報]
タイトル:名もなき塔
制作者:_/-^氏
公称プレイ時間:18~30時間
対応環境:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
名もなき塔[フリーゲーム夢現]

  • 扇風機(@senpuuki007

    雑多にゲームを遊んで感想を書いたりしている扇風機。
    遊び手としても書き手としてもまだまだひよっこ。
    のんびりとやらせてもらってます。