インディークリエイター主催!東京ゲームダンジョンで見つけた注目インディーゲーム8選

イベントレポート

2022年8月7日、インディゲーム展示会「東京ゲームダンジョン」が東京都立産業貿易センター浜松町館2階にて開催され、初開催である今回は約80ブースの出展が行われ賑わいをみせた。次回は来年1月、以降は年2回ペースでの開催が予定されている。

本展示会の発起人となったのは、ゲーム開発の技術勉強会「週末Unityもくもく会」を各地で開催しつつ自身もクリエイターとして活動している岩崎氏。「もくもく会」を開催していく過程で、ゲーム開発者がより気軽に自身の作り上げた作品を発表できる”敷居の低い展示会”が必要という考えから東京ゲームダンジョンを立ち上げたとのこと。実際に会場を回ってみると、広く取られた展示スペースや一角に配置されたらくがきコーナーの存在など、慌ただしさのないゆったりとした雰囲気のイベントとなっていた。

本記事では取材陣が気になった作品を8点紹介するので、気になった作品があればチェックしてみてほしい。また、出展作品のPVはイベント公式のYouTubeプレイリストから観ることができるので合わせて参考としてほしい。

しゅんて『BearRunner Any% RTA』

しゅんて氏の『BearRunner Any% RTA』はゲームのクリア時間を競う競技「RTA」(リアルタイムアタック)の実況配信をモチーフとしたアクションゲームで、unity1weekにて公開された作品をブラッシュアップしたもの。今回のイベントの開催日が日本の大型RTAイベント「RTA in Japan」の開催週と重なるということもあり期せずしてタイムリーな作品となった。

かわいいクマのキャラクターが自動で走るランゲームのクリアタイムを早めるべく介入していくのだが、ゲーム機のカセットを叩いてバグらせることでゲームを進めていくという、意識的にも物理的にも衝撃の操作方法が用意されていた。バグを引き起こしてデモを飛ばしたり壁抜けを引き起こすことでタイム短縮を狙うのだが、バグを使いすぎるとゲームが止まってしまってゲーム機の電源を入れなおす羽目になるので加減に注意しなければならない。

本作では2022年内にiOS/Android向けに配信予定。気になる操作方法についてはスマートフォン版ではタップ操作となるとのことだ。

Website: https://shuntetwo.wixsite.com/bearrunner

みかんラビリンス『音隠しの森』

みかんラビリンス『音隠しの森』は「音」を主題とした3Dの探索ゲーム。ステージ中には音の元になるアイテムが配置されており、インコが歌う3つの音と内容と順番が同じになるように音を揃えることでステージをクリアしていく。会場では8ステージ分を体験することができた。

本作の特筆すべき点は音を収集することができるアイテムの豊富さ。鼓笛隊のブリキ人形のようにわかりやすく音を発する物の他にも壁にある本棚や床など意外な物からも音を録ることができ、その素材の種類によっても音色や高低が異なるといった細やかなこだわりぶりが光る。

様々な物品が発する音を聞き分けていくことを通じて、普段は気に留めなかった様々な物の音について気付かせてくれる作品だ。体験版がダウンロード可能なので、画面だけでは伝わらない「音」を実際にプレイして聞き分けてみてほしい。

Website: https://twitter.com/suikameron1

鷹館『亜電』

『亜電』は鷹館氏が開発中の2Dベルトスクロールアクションゲーム。会場では試遊台の展示のみならず体験版ダウンロードカードの頒布も行われていた。2023年内のリリースを目標に開発が進められている。

横視点かつ奥行きのあるフィールドを移動しつつ敵を倒す内容で、展示ではチュートリアルを兼ねた最初のボス戦を体験することができた。主な攻撃方法は高速移動を兼ねた体当たり攻撃となっており、軽快なフットワークでフィールドを走り回りながらバシバシとダメージを与えていくことができる。

攻撃を加え続けてボスの体力ゲージの下にある黄色いゲージを空にするとボスが気絶し、その状態でボスに接触することでファンキーでダンサブルなリズムアクションが展開される。マーカーが中央に来たタイミングで上下左右の方向キーを入力するとポーズと共にゲージが溜まり、ゲージがマックスになることで大爆発してボスの体力ゲージを1セット削ることができる。ダンスアタックの圧倒的なテンションは”アガる”こと間違いなしだ。

Website: https://twitter.com/takayakata4827

すずきすずぞう『Path of the Abyss』

2色ビジュアルが印象的な『Path of the Abyss』は正方形のマスで区切られたダンジョンを進んでいく「グリッドベース」の3DダンジョンRPG。恐ろしいモンスターが沸き出すようになった遺跡の謎を解き明かすべく、冒険者によるパーティを結成して遺跡に挑むことになる。

モンスターとの戦闘シーンはリアルタイムになっており、3×3マスの枠で表現された「隊列パネル」にセットされたコマンドを駆使して戦闘を繰り広げる。隊列パネルは冒険者達のもつスキルなどに応じてカスタマイズすることが可能で、相互作用などを含めて配置を考慮していく必要がある。キャラクターの育成も含めたカスタマイズ性にこだわったシステムが特色のひとつといえるだろう。

開発者・すずきすずぞう氏は「往年の3DダンジョンRPGのファンではあるが、既存のシステムからは外したものを作りたい」と語っており、その言葉通りの気概が感じられる意欲的な作風の一本だ。

Website: https://suzuki-suzuzou.fanbox.cc/

エンドレスシラフ『∀stralbringer -蓋影のアーカリウム-』

エンドレスシラフ『∀stralbringer』は同サークルの過去作である『∀kasicverse』の「システマチックかつ豊富な攻撃手段の数々をもって圧倒的な質と量の敵と攻撃を押し返す」流れを汲んだ縦スクロール2Dシューティングゲーム。

本作では自機の移動にマウスを使用する。自機を敵弾にかすらせることでエネルギーを溜め、溜めたエネルギーは攻撃や防御など様々なアクションに使用する。アクションの中には瞬発的に無敵になることができる行動があるので、無敵を発動させつつ敵弾に飛び込んでエネルギーを溜め、溜めたエネルギーでメインの攻撃手段であるブレードやロックオンレーザーを放っていくのが基本的な流れとなる。

開発者自ら「死にゲー」と説明するほどの強烈な難易度とテンポの早さで初見ではまず間違いなく瞬殺されるのだが、システムを使いこなせるようになるごとに少しずつ先に進める「攻略の着実な面白さ」もあり、つい繰り返し試遊を申し込みたくなってしまう。激辛党のプレイヤーは要注目だ。

Website: http://endless-shirafu.com/

しおかぜのまち『ロボットガール・ミーツ・ヒューマン!』

うすいしお氏が代表を務めるサークルしおかぜのまちの『ロボットガール・ミーツ・ヒューマン!』は、「ニンゲンを笑顔にすること」を使命としたロボットの少女・スカーレットが、人間が居なくなった世界を旅するSFアドベンチャーゲーム。プレイヤーは「マザー」として人間を探すスカーレットを導くことになる。

家庭用ロボットであるスカーレットには他の機械をコントロールする機能と、センサーでアイテム等細かいものを探す機能が搭載されており、これらが探索の助けになる。特にセンサーによるサーチ機能が便利で、どの場所をインタラクトすれば良いのかを見失うことがなくなり行き詰まりにくい。物語の展開を追うことに注力できる遊びやすい作品となっていた。

横スクロールながら2Dと3Dが融合した背景も見所のひとつ。視点が動いた際には思わず驚きの声を上げた。本作は8月末にSTEAMでの無料公開が予定されている。

Website: https://usuisio.jimdofree.com/games/%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%84-%E3%83%92%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3/

よんとんトマチン『ふりかけ☆スペイシー』

一体なんなんだこれは。そう言わずにはいられない『ふりかけ☆スペイシー』はサークルとんよんトマチンが開発中のノベルゲーム。ゴスでブリなドレスを身にまとい、オタク文化を愛する2浪中の主人公「さぁたん」が、ひょんなことから時空の乱れに巻き込まれ「ネオ昭和」の世界へとワープし、大騒動を展開することになる。


(※体験版ゲーム画面より撮影)

どいつもこいつもアクしかないキャラクターたち!曲がり角でぶつかるコテコテの展開!パロディと言い切るには危険が危ないスチルの数々!突如としてはじまるしりとり!ゲームの進行にまったく関係のない占い機能!右を向いても左を向いても狂気!シュールとナンセンスの極地に君の脳はついてこられるか!?こうご期待!!

そして展示ブースに試遊機の姿はなく、代わりに置かれていたのは体験版のダウンロードカードに手製のすごろくとコリントゲーム。一瞬デジタルゲームの展示会であることを疑ってしまうフリーダムな所業に言葉を失ってしまったのであった。

Website: https://twitter.com/4t_tomatine

ちょいちょい『ラグドーリオン』

ちょいちょい氏が開発中の『ラグドーリオン』は作品名と同名の人型ロボット「ラグドーリオン」を操作し巨大な敵と戦う3Dロボットアクションゲーム。作品名から連想できる通り、人体が崩れ落ちるような動きをするときのシミュレーションによく使用されるラグドール物理演算をフィーチャーしたものになっている。

ロボットアクションというとブースターをふかして目まぐるしく空中を駆け巡る軽快なものや、その逆に圧倒的な重量を持つ鋼鉄の塊が地面を踏みしめるような重たい動きを想像しがちだが、ムービーを見ていただくと分かる通り本作はそれらとは異なる挙動を見せ、例えて言うならばジオラマのようなテイストを生み出している。

ラグドーリオンはラグドール特有の癖のある動きをするので、ただ歩くことも、振り向いて銃の狙いを定めるのも一苦労。敵と戦う以前に操作に手こずることになる。また、戦闘中には武器や補修用のパーツを運ぶドローンを呼び出して合体することができる。合体といえばロボットものには欠かせない熱血要素だが、ドローンが敵と追突事故を起こしたりしてこれまた締まらない。硬質なロボットとぐにゃぐにゃなラグドールのアンマッチが楽しい作品となっていた。

Website: https://twitter.com/ChoiChoiAdv

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。