姿の見えない幽霊を捉えろ!ホラーアクションアドベンチャー『Uneven Being』

アクション,フリーゲーム,ホラーゲーム

この記事を書いている時点ではもう過ぎてしまったが、10月末日といえば「ハロウィン」の季節。現世に帰ってくる死者の魂と共にやってくる悪霊を追い払うため、悪魔除けのカボチャのランタンを飾り、子供たちがお化けや魔女に仮装して「トリック・オア・トリート!」(イタズラかお菓子か)の掛け声と共に家々にねりまわる西洋の風習のひとつである。そのハロウィンにちなんでか、この時期はお化けや魔女を題材にした作品やホラー作品が数多く発表される時期でもある。

今回はそんなハロウィンに合わせた作品群の中から、ベルギーのイラストレーターDethel氏による『Uneven Being』を紹介したい。本作はハロウィン当日である2020年10月31日よりitch.ioにて公開されている。

赤い月の夜は、悪霊たちの騒ぐ夜

女子高生のレア・キサラギは祖父の死をきっかけに自身に霊感が備わっていることを知り、形見のカメラと共にゴーストハンターとしての活動を開始する。深夜の学校で幽霊の姿をカメラに捉えることができ意気揚々とするレアだったが、夜空に浮かんでいた赤い月を見上げた際、謎の力によって異界に囚われてしまう。

赤い月が沈むまでに異界を抜け出すことができなければ異界に閉じ込められたままになってしまう事を知ったレアは、蛇女のフミコをはじめとする妖怪たちの力を借りながら異界を探索していくことになる。果たしてレアは無事に異界から脱出することができるだろうか?

暗闇の校舎はライトが頼り。幽霊の姿を暴き出せ!

『Uneven Being』は見下ろし視点のアクションアドベンチャーゲームとなっており、レアとなって襲いくる幽霊達を撃退しつつ、異界の校舎を探索して脱出するための手掛かりを探していくことになる。操作はキーボードとマウスで行い、WASDキーで上下左右に歩き、マウスで視線を操作。数字キーかマウスホイールでアイテムを選択し、左クリックでアイテムの使用。ドアなどを調べる際はスペースキーで行う。またFキーでアイテムメニューの開閉を行うことができる。

幽霊を撃退するにはライトで幽霊の姿を照らし出したのち、プラズマ銃で幽霊のHPを削って動きを止め、近づいてスペースキーで捕まえるという3つのプロセスを踏む必要がある。特にライトで照らさないと幽霊の姿が見えないという点がくせ者で、予期せぬ奇襲を受けて心臓に悪いことになりがちだ。よく周囲を照らしたり、霊感を示す画面左下部のゲージや心音に注意しながら進むと良いだろう。ライトやプラズマ銃には充電時間が必要になるので、アイテムをこまめに切り替えて充電しておこう。

幽霊を倒すとお金や様々な素材を入手できる。集めた素材やフミコのショップで購入できるパーツ類は右クリックで素材を組み合わせて新しいアイテムを作ることが可能だ。こうしたアイテム類も戦闘で活用していこう。中でもカメラのフラッシュを強化すると実体化済みの幽霊の動きを一瞬止めることができるので、幽霊を実体化させた後も猛烈な勢いで突っ込まれてやられてしまうという場合や、捕まえたいのに逃げだす幽霊がいるという場合には積極的に使っていくのがオススメだ。

レトロでコミカル、でも手強いサバイバルホラー

少し油断すると実体化していない幽霊にボコボコにされたり、強烈な状態異常で体力を大きく削られたり、時にはプラズマ銃が効かない敵に追いかけまわされたりと、本作の難易度はホラー作品らしくやや高め。一方でそのことが緊張感と、アイテムを器用に使い分けて幽霊を撃退できるようになってきた際の達成感や上達の実感にも繋がっている。

また、古い年代のパソコンゲームを彷彿とさせる色数の少ないビジュアル、ボスキャラクターである”部長”達や2周目以降のゲームモードに対応する衣装チェンジなど各所に散りばめられたコミカルなお色気要素も見逃せない。どこか1980年代的ともとれるテイストの作風は見る人に応じて新鮮さにも懐かしさにも映ることだろう。

本作は英語のほかにベルギーの公用語のひとつである仏語に対応している。キャラクター名にこそカタカナのルビが振られているが日本語には未対応であり、会話文を追おうとするには語学の心得が要る。しかし言語の面を差し引いても日本的な舞台設定は親しみやすく、ほったらかしにしておくには惜しい魅力を持つ一作だ。本作で一足遅いハロウィンを楽しんでみるのはいかがだろうか?

[基本情報]
タイトル: Uneven Being
制作者: Dethel
クリア時間:  5時間~
対応OS: Windows
価格: フリーウェア

↓ダウンロードはこちらから
https://dethel.itch.io/uneven-being

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。