Steamで高評価の死にゲー『VVVVVV』がスマホに移植されてた
死にゲーと呼ばれるアクションゲーム群がある。
トラップや強敵が次々と出てくるが、とにかく何度も死ぬことで少しずつコツを覚え前に進んでいくゲームだ。死に覚えゲー、とも言われる。
PCゲームならばニコニコ動画の実況で有名になった『I wanna be the guy』、PS3では『デモンズソウル』『ダークソウル』のシリーズは死にゲーだろう。
コンソールはさておき、スマホゲーではあまり死にゲーというものがなかったように思う。そもそもスマホ用のアクションゲーム自体、操作性の問題などもあって少ない。
だが、「意外とスマホゲーと死にゲーは相性がいいのではないか」と感じさせる作品に巡りあった。
それが2014年6月にiOS、Android版がリリースされた『VVVVVV(シックスブイズ)』だ。
海外のインディゲームシーンで高い評価を得たPCゲームのスマホ版
このゲームはイギリス在住のインディゲーム・デベロッパーTerry Cavanagh氏が制作した横スクロールアクションゲーム。PC版は2010年にリリースされており、Steamなどで販売されている。
レトロな雰囲気の死にゲーとして高い評価を得て、SteamではMetaScore81点を獲得している。インディゲームのコンテスト「Indiecade 2010」でMost Fun/Compelling Gameを受賞している。
公開から1ヶ月も経っていないがGooglePlayでは既にレビューが1000近い。根強い人気が伺える。
このゲームは、旅をしていた宇宙船が故障し、異空間へ飛ばされてしまうところから始まる。ゲームの目的は、主人公の船長が散り散りになった5人の船員を探すことだ。船長も5人の船員も全員名前がvから始まるから「vvvvvv」。
地図にヒントを得たりしながら、船員を探して異空間を縦横無尽に走り回る2Dアクションゲームだ。
地図で既に捜索したところは色がついている。灰色の影がかかっているところはまだ未踏の領域だ。
キャラの動きも単純明快。画面左下で指を左右にスライドすると左右移動、右下をタップするとジャンプ、それだけだ。『ケロブラスター』にも通じる極めてシンプルな操作だ。画面の左右に黒い帯があるので、画面も隠れず触りやすい。
一つ気をつけなければならないのは、ジャンプが普通のジャンプではないこと。ジャンプ=無重力ジャンプなので、ジャンプすると天井に張り付く動きになる。もう一度ジャンプしないともといた地面には戻ってこない。
疾走感とその中に埋め込まれる死
さて、このゲーム、次々と部屋(画面)を移動していくのだが、トラップ満載だ。トゲなどの障害物に当たったら死ぬ。
ご覧いただければなんとなくわかるかもしれないが、各部屋はトラップだらけだ。
障害物が動いたり、勝手にキャラを跳ね返してくるゴムを使って進まなければいけなかったり、下からトゲが迫ってきたり、一歩遅れてついてくる仲間と一緒に行動しなければならなかったり…。とにかくタイミングと繊細な操作が要求される。
大体、初見では一発で通り過ぎることができないので、各部屋で死にまくる。
だが安心してほしい。一つの部屋を通り過ぎるまでの時間は10秒もかからない。
そして、必ずといっていいほど各部屋にセーブポイントが配置されている。
その結果、何が起こるか。
ものすごい勢いで走り(キャラの動きも結構速い)、飛び、
ものすごい勢いで死に、
そして、ものすごい勢いで復活する。
これを繰り返す。
そこに謎の疾走感が生まれるのだ。
ゲームオーバーになったときに感じがちな「あー、せっかくここまでがんばってきたのに…、何やってんだろ」という感覚は極限まで小さくなる。だが、各部屋は一筋縄ではクリアできないので「クソっ、もう一回」という気持ちは残る。この設計は秀逸だ。
自分が死ぬことすら疾走感あるリズムの中に組み込まれてしまう、それがこのゲームの醍醐味だ。
死ぬのが気持ちよくなる瞬間
疾走感あるリズムが生まれるという話をしたが、ゲームの中でリズムを生み出す重要な構成要素といえば、BGMだ。
『VVVVVV』はBGMもしっかりとこだわって作られている。
楽曲を担当したスウェーデン人アーティストの「SoulEye」が8bitライクな音楽ながらもベース音あり、エフェクトがばっちり効いている非常にリッチな音楽を実現しており、懐かしいようでいてカッコイイ。
サントラ集「PPPPPP」も販売中(85スウェーデン・クローナ=1300円程度)。ヘビメタミックス「MMMMMM」も販売されている。
BGMも相まって、このゲームの疾走感はさらに高められる。
一小節ごとにリズムよく死んでいく。
死にゲーなのにやっていて気持ちいいと思える。
筆者はこのゲームをなんとかクリアしたのだが、最後にプレイ時間と死んだ回数が表示されるのでご覧いただきたい。
プレイ時間(Game Time)は約3時間、死亡回数(Total Deaths)は1445回。
計算してみるとおよそ7.4秒に1回は死んでいたようだ。
心折設計なゲームに施された親切設計
この『VVVVVV』がなぜスマホと相性が良いのかというと、一部屋ごとにセーブポイントがあるからだ。途中でゲームをやめたくなってもすぐに止めることができる。
もちろん、疾走感があるとはいえ、このゲームは基本的に「心折設計」だ。10回ぐらい死んだところからやっとコツがつかめてくることもしばしば。あまりに死に続けると心が折れる瞬間もある。筆者も3回ほど投げ出した。
投げ出した終盤のトラップの一つ。ゴムで上下に弾かれながら、左右から流れてくる玉の隙間を通らなければならない。1分避け続けなければいけないが、5秒ごとにオートセーブされている。
次やるときには投げ出した同じ部屋から始められるこのデザインこそ、心折設計なこのゲームに適度に施された親切設計だと思う。ちょっとしたスキマ時間にやることが多いスマホゲームでも、やめようと思えば安心して止めることができる。なんとスマホにも最適な親切設計である。
やりごたえは十分。そして上級者向けにはタイムアタックやNo Death Modeまで用意されている。
電車の中でも気軽の楽しめるこの疾走感をぜひ味わってみてはいかがだろうか。
なお余談になるが、このゲームはレベルエディタが公開されているため、散々死んだその鬱憤を晴らすために、自分で無理ゲーなステージを作り共有することも可能だ。
Terry Cavanagh公式ブログ
http://distractionware.com/blog/2014/06/outer-space/
[基本情報]
タイトル VVVVVV(シックスブイズ)
制作者 Terry Cavanagh
クリア時間 およそ3時間(クリアまでのおおよその時間、ほかにやりこみ要素あり)
対応OS iOS / Android / win / mac / linux / wii
価格 iOS版300円 Android版339円 Steam版(win/mac/Linux) 4.99ドル(約500円)
ダウンロードはこちらから
iOS